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等加速度直線運動の特徴と公式

◆ 等加速度直線運動とは?

等加速度直線運動(とうかそくどちょくせんうんどう)は、加速度が一定で、一直線上を運動する運動のことです。高校物理や大学初級レベルの物理で基本となる運動の一つです

 

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♦基本的な定義

  • 等加速度:運動中、速度の変化率(加速度)が常に一定。

  • 直線運動:物体が一直線上を移動する運動。

  • したがって、「等加速度直線運動」とは、「加速度が一定な直線運動」です


主な物理量と記号

等加速度直線運動で使われる記号には以下のものがあります。

 

物理量 記号 単位
位置 xx
[m](メートル)
初速度 v0v_0 [m/s]
速度 vv
[m/s]
加速度 aa
[m/s²]
時間 tt
[s](秒)
 

♦基本の運動方程式(3つ)

等加速度直線運動では、以下の3つの公式がよく使われます。

  1. 速度と時間の関係式

    v=v0+atv = v_0 + at
  2. 位置と時間の関係式

    x=x0+v0t+12at2x = x_0 + v_0 t + \frac{1}{2} a t^2
  3. 速度と位置の関係式(時間を使わない)

    v2=v02+2a(xx0)

♦グラフでの理解

等加速度直線運動では、主に速度‐時間グラフ位置‐時間グラフ加速度‐時間グラフが用いられます。

実際に加速度 a=2m/s2a = 2 \, \mathrm{m/s^2}、初速度 v0=0m/sv_0 = 0 \, \mathrm{m/s}、初期位置 x0=0mx_0 = 0 \, \mathrm{m}の運動を例にとったグラフを見てみましょう。

 

1. 速度-時間グラフ(v-tグラフ)

  • 傾きが加速度(a)に相当する直線。

  • 面積は移動距離(位置の変化量)を表す。

 

2. 位置-時間グラフ(x-tグラフ)

  • 放物線(2次関数の形)になります。

  • 初速度が0のときは、原点から上に開く放物線。


3.加速度 - 時間グラフ(a-tグラフ)

 ・加速度は一定なので、水平な直線。

 

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✅ 等加速度直線運動の具体例

等加速度直線運動には具体的に以下のような運動タイプがあります。

1. 自由落下運動

  • 内容:物体が空気抵抗なしで地面に向かって落ちる運動

  • 加速度:鉛直下向きに一定(地球上では g9.8m/s2g \approx 9.8 \, \mathrm{m/s^2}

  • 初速度:ゼロ(手を離しただけ)

  • :ビルの上からボールを手を離して落とす


2. 投げ下ろし運動

  • 内容:物体を下向きに初速度をつけて投げる

  • 加速度:鉛直下向きに一定(gg

  • 初速度:ゼロではない

  • :高い所からボールを下に向かって投げる


3. 鉛直投げ上げ運動

  • 内容:物体を上向きに初速度を持って投げる運動

  • 加速度:上に投げても、加速度は下向き(-g)

  • 運動の流れ

    • 上昇:速度が減少 → 最高点で速度0

    • 下降:自由落下と同じ運動に移行

  • :ボールを真上に投げて落ちてくるまで


4. 水平投射運動

  • 内容:水平方向に初速度を持って投げ出し、垂直方向には自由落下

  • 加速度:水平方向は等速度(加速度0)、垂直方向は gg

  • 注意:これは厳密には「直線運動ではない」ですが、垂直方向は等加速度直線運動と見なせます

  • :机の端からペンを横に滑らせて落とす


🚀 その他の例

5. 等加速度で加速する車

  • 内容:信号が青になってアクセルを一定に踏んで進む車

  • 加速度:正(速度が増える)


6. ブレーキをかけて止まる車(減速運動)

  • 内容:一定の強さでブレーキをかけて止まる

  • 加速度:負(速度が減る)


🔁 まとめ表

運動タイプ 初速度 加速度の向き 代表的な例
自由落下 0 下向き(+g) 手を離したボール
投げ下ろし 下向き 下向き(+g) 下向きに投げるボール
鉛直投げ上げ 上向き 下向き(-g) 真上に投げたボール
水平投射(垂直方向) 横向き 下向き(+g) 机から転がったペンの落下部分
車の加速 0〜小 前向き(+a) アクセルで加速する車
車の減速 高速 後向き(-a) ブレーキで止まる車
 
これらの運動の詳しい解説については別のページで解説していきます。
 

等加速度直線運動のまとめ

  • 等加速度直線運動では、加速度が一定であることがすべての計算の出発点です。

  • 時間を軸にしたグラフで理解すると直感的にわかりやすいです。

  • 初速度が0かどうか、向き(正負)などに注意して式を使い分けることが大事です。


※等速直線運動との違い

よく等速直線運動と等加速度直線運動を混同してしまうことがあります。

等速直線運動と等加速度直線運動は、どちらも一直線上を運動するという点では共通していますが、速度や加速度の性質が異なります。以下に、違いをわかりやすくまとめます。

 

🔁【ざっくり比較表】

特徴 等速直線運動 等加速度直線運動
速度(v) 一定 時間とともに変化する
加速度(a) 0 一定(0でない)
位置の式 x=x0+vtx = x_0 + vt
x=x0+v0t+12at2x = x_0 + v_0 t + \frac{1}{2}at^2
速度の式 —(変化なし) v=v0+atv = v_0 + at
グラフ(x-t) 直線(傾き=速度) 放物線(2次関数)
代表的な例 一定速度で走る電車、自動車など 自由落下、加速する車、ブレーキをかける車など
加速度の意味 変化がない ⇒ 加速度0 速度が変化 ⇒ 加速度は一定(0でない)

📘それぞれの運動の特徴

✅ 等速直線運動

  • 定義速度が一定で、直線上を動く運動。

  • 加速度は 0

  • ずっと同じ速さ・同じ向きで進み続ける。

  • 位置の変化は時間に比例する(グラフは直線)。

x = x_0 + vt

✅ 等加速度直線運動

  • 定義加速度が一定で、直線上を動く運動。

  • 時間が経つごとに速度が変化する。

  • 速度の変化が毎秒同じ量だけ変わる(=加速度が一定)。

  • 位置の変化は時間の2乗に比例(グラフは放物線)。

x = x_0 + v_0t + \frac{1}{2}at^2


 いかがでしたか。

等加速度直線運動というと、なんだか難しく聞こえてしまいますが、公式さえ覚えてしまえば特に難しいことはありませんので、落ち着いて考えてみてくださいね。

 

では今回はここまで。

本日も勉強お疲れ様でした。

 

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